傾聴サービス まちの幸ブログ

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人と同じスピードでなくても

介護の仕事を始めた時、あまりに不器用すぎて同期のみんなと同じスピードで成長できなかった私。危なげなく介助ができるようになるまでリーダーのマンツーマン指導が必要でした。けれどもリーダーは他の業務で忙しいことも多かったので、おのずと利用者の方と過ごすばかりとなる日々。

私の業務は「見守り兼つえ歩行の方に対するトイレ等 軽介助」というものでした。
当初は身体介護について学ぶことばかり考えていたので(みんなどんどん仕事を覚えて1人前になっていくのにあんまりだ。こんなに何もさせてもらえない毎日が続くならもう辞めてやる!)と、密かにやさぐれていました。といっても仕事は仕事です。(利用者の方の話はちゃんと聞こう)という気持ちもありました。

そんなある日のこと。利用者のKさんがニコニコしながら言いました。
「あなたと話していたらいろんなこと もっと聞いてほしくなるわぁ」

(え・・・)一瞬耳を疑いました。こんな、身体介護もできない私なのに?

何もさせてもらえない日々は当時の私をすっかりヒクツにさせていました。その思いは『 重度の方の入浴介助やオムツ交換ができる人は花形。できない私はただの透明人間  』というくらい膨れ上がっていたので本当にびっくりしました。

Kさん違うんです。私、何もできないからここにいるんです。でも・・・
( こんな私でもここにいていいのかな )
Kさんは何気なく言ったのかもしれません。けれども思いがけないKさんの言葉は私の心に一筋の明かりを灯してくれました。

『 人の話を聞く 』というフツーのことをして自分の心が救われるだなんて、まったくもって目からウロコの出来事でした。と同時に気がついたのです。今まで「 誰にでもできる 」だなんて思っていた軽介助だけれど・・・。
フロアで見守りをしている時や杖歩行の方の横に付いて歩く時に交わす、何気ない会話こそが大切なのかもしれない。

現に回を重ねるごとに親しみが増している。相手の心模様も少しだけ感じ取れるようになってきて・・・
『今、私は1人1人をじっくり知る絶好の機会を与えられているんだ。』
そう思うだけで焦る気持ちは小さくなり心が軽くなってゆくのでした。

時は過ぎ、( 何もさせてもらえない )とやさぐれていた私の思いは いつしか過去のものとなりました。
けれども利用者の方の話に耳を傾ける。ということに価値を見出すようになったきっかけは、あの日のKさんの一言に違いありません。

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